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杉並区風致地区(善福寺1丁目,2丁目,3丁目)の建築制限について

Contents

風致地区とは

 都市の風致(樹林地、水辺地などで構成された良好な自然的景観)を維持するため、都市において良好な自然的景観を形成している区域のうち、土地利用計画上、都市環境の保全を図るため風致の維持が必要な区域を指定するものです。

風致地区 | 東京都都市整備局 (tokyo.lg.jp)

現在、東京23区内では、14 ヶ所が指定されていて、第一号は、明治神宮内外苑付近となっています。

東京都風致地区条例に基づき、風致地区を有する各自治体が細則を取り決めている。

このページに入り、・杉並区風致地区条例  および ・杉並区風致地区条例施行規則 の項目を閲覧すると細則が見れます。(直リンクできないので、検索かけてください)

風致地区 杉並区善福寺1丁目、2丁目、3丁目の条例

住宅を建設する場合の基本的な規則は以下のとおり

  • ア)建ぺい率:40パーセント以下
  • イ)壁面後退(道路側):2メートル以上
  • ウ)壁面後退(隣地側):1.5メートル以上
  • エ)高さ:15メートル以下

また、以下の文章がある。

ただし、ア、イ又はウについては、当該建築物の敷地について風致の維持に有効な措置が行われることが確実と認められる場合であって、当該建築物の位置、規模、形態、意匠、建ぺい率及び容積率が、当該建築物の敷地の規模及び形態並びに当該建築物の敷地及びその周辺の土地の区域における風致と著しく不調和でないと認められる場合は、この限りでない

まず、15メートル以下は必須条件である。

そこで、ア、イ又はウについて、どのような計画であれば区の許可が出るのかについては、さらに基準が示されている。主に、戸建て住宅の場合には以下のようになる。

<特別事情条件>家族構成(2世帯もしくは5人以上等)並びに建築物の用途上及び配置上などの客観的に事情やむを得ないと判断される場合

この<特別事情条件>の適用され建築条件が緩和されるためには、以下の必要条件がある。

<必須緑化基準> 緑化率30% (土地面積に対して、緑化の算定面積が30%) とすること

緑化の算定方法は、決められており、例として、3m以上の高木は3㎡(本)、1.5m以上の中木は1㎡(本) 。

計画書提出後、区の調査があった段階で、所定の高さに達していなくてもよいようである。木の種類で考慮される。

<特別事情条件>と<必須緑化基準>を満たした場合の緩和の上限

見方を解説する。

建設する住居が、一方向に道路、他の3方向は隣家と接している場合とする。

建築物と前面道路との距離をF、左側の敷地端との距離をL、右側の敷地端との距離をR、後ろ側の敷地端との距離をBとすると、

  •  建ぺい率緩和 40%⇒45%にした場合
  • 適用できる緩和① Fを2⇒1.7m へ、L、R、Bを1.5⇒1.2mへ、全部で2方向のみに適応できる
  • 適用できる緩和② Fを2⇒1.5mへ、又は L、R、Bのうち一方向だけを1.5⇒1.0mへ、他の3方向は2又は,1.5mのまま
  •  建ぺい率緩和を受けずに 40%のままの場合
  • 適用できる緩和① Fを2⇒1.5m へ、L、R、Bのを1.5⇒1.0mへ、全部で2方向のみに適応できる
  • 適用できる緩和② Fを2⇒1.0mへ、又は L、R、Bのうち一方向だけを1.5⇒0.5mへ、他の3方向は2又は,1.5mのまま

条件を絵にすると以下のようになる。

最大限、風致地区の緩和を受けた場合の建築物例

緩和後の土地と建物の関係を図で例示します。

  • 基本的に、どこまで片側に建物を寄せて建てることができるのかの例示となります。
  • 簡略化のために、12mX12mのスクエアの土地が一方向に接道している場合を想定します。
  • 余白部分は、緩和を受けるための緑化がされることとなります。
  • 建蔽率の緩和を受けなければ、境界線の緩和は大きくなり(より建物と境界との距離を少なくできる)、建蔽率の緩和を受けると、境界線の緩和は小さくなります。
  • 建蔽率の緩和(40%→45%)を受けた場合でも、容積率は固定のため、容積率の緩和を受けた場合、建物は総2階ではなく、2階部分が小さい建物となります。
  • 12mX12mのスクエアの土地で、条件をあてはめましたが、実際は色々な事情の土地に対しての、緩和の限界値を規定したものなので、緩和を区から認可されるかどうかは別の話です。(たとえば、このような土地の場合、後ろ側を0.5mにまで寄せる許可は出ないのではないでしょうか)

風致地区内の基本的建築規則

 接道(前面道路)から建物まで2m無い場合  その建物は緩和を受けており30%緑化が必須。建蔽率40%上限で建設している場合、敷地の30%を緑化、残り30%はその他の使用可となります。

[建蔽率の緩和は無し] かつ [2方向の条件緩和] を受けた場合

前面道路と建物の距離緩和を含まない場合

 土地の横と後方に緩和を受けた場合、必然的に前面道路との距離は2m以上となる。

前面道路と建物の距離緩和を含む場合

[建蔽率の緩和は有] かつ [2方向の条件緩和]を受けた場合

前面道路と建物の距離緩和を含まない場合

前面道路と建物の距離緩和を含む場合

[建蔽率の緩和は無し] かつ [1方向の条件緩和]を受けた場合

[建蔽率の緩和は有] かつ [1方向の条件緩和]を受けた場合

12mX12mのスクエアの土地で、条件をあてはめましたが、実際は色々な事情の土地に対しての、緩和の限界値を規定したものなので、この緩和を受けられるかどうかは別の話です。(たとえば、このようなスクエアな土地の場合、0.5mにまで寄せる許可は出ないのではないでしょうか) あくまで、土地の形状に基づく事情を考慮して、やむを得ず認可することになるはずです。

善福寺風致地区の現状

このように、風致地区条例の緩和については細則が決められており、大きく制限を受けることになるが、それにより住環境が保たれることになる。緩和を受けずに基本的条件で建設した場合は、敷地内をコンクリートで敷き詰めて駐車場にすることなども可能だが、緩和を受けた場合は緑化が必須なので、結果的には、狭い土地ほど緑が豊富となる。

『当該建築物の敷地の規模及び形態並びに当該建築物の敷地及びその周辺の土地の区域における風致と著しく不調和でないと認められる場合は、この限りでない』の一文は、要するに、区の担当が認めれば全ての厳しい基準もクリアする必要がないともとれる。個人の申請で区に特別許可をもらうのは難しいが、デベロッパーが建売分譲の集合体でのコンセプトを通すなどすれば可能であろう。但し、個人で再建築する場合は、同じ容積の物を建てれらるかどうかはわからないので注意が必要。

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